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これでもう、快適なお部屋探し。スマートロックで内覧・内見革命!

 

……物件の内覧・内見で、管理側の担当者の同行があったり、鍵をもらったり、正直面倒な時ってないですか?

もちろん、新しい引っ越し先を探すときに、物件を内覧することはマストです。

 

しかし、意外とその一連の流れにはコストがかかっている。業者と連絡を取り、内覧日をすり合わせ、担当者による鍵の受け渡しや同行を経て、ようやく物件の見学に行けるわけです。

スマートロックこそが、そのコストを圧縮する。内覧したい人と業者、双方にとって望ましい内覧のカタチを実現したReTechスタートアップがある。

目次

・無人のセルフ内覧サービス「スマート内覧」とは

・ソリューション提供のためのハードウェア開発

・スマートロック市場への見解

・事業をつくる上で必要な「世界観」

・終わりに

(読了4分)

「スマート内覧」とは

株式会社ライナフが手がける「スマート内覧」とは、内覧希望者がネットで内覧日を予約し、当日に自身のスマートフォンでスマートロックを解除できる、予約から内覧までをワンストップで提供する無人のセルフ内覧サービスだ。

内覧希望者は「スマート内覧」のウェブサイトから希望日時を予約するだけで、業者との連絡は一切不要。

内覧日時が確定すると、本人のスマートフォンに物件の施錠を解除できる電子キーが発行されるため、不動産管理会社や仲介業者からの担当者の同行や鍵の受け渡しが発生しないようになっている。

当日、内覧者は物件に設置されたスマートロック「NinjaLock」(同社開発)に、自らのスマートフォンから操作するだけで物件に入ることができる。

スマート内覧」はそういった不動産流通を促すサービスパッケージであり、Bluetoothで室内のタブレットとスマートロックが通信することで、スマートフォンのブラウザ経由での開錠ができるわけだ。

 

 「スマート内覧」公式HPより

 


「NinjaLock」とは


NinjaLock」とは玄関扉のサムターン錠に取り付けることで、スマホ・タブレットから鍵の開閉を行えるIoTデバイスだ。

鍵の開閉権は、自身の端末のみならず、指定した複数の端末にも特定の時間帯のみ付与することが可能。また、開閉履歴の確認や遠隔操作も行える。

デバイスの取り付けは、サムターン錠の上からかぶせるだけで良いので、大掛かりな工事も不要だ。

 「NinjaLock」公式HPより

 

ソリューション提供のためのハードウェア開発

開発部マネージャー 椎名 健太(Shiina Kenta)

ウェブサイト制作会社に入社後、UI/UX設計、開発ディレクション、チームマネジメントに従事。2015年よりライナフに参画する。当社ではウェブブラウザのアプリ開発を担当。

 

−スマート内覧のサービス開発は、どのような考えのもとで行われていたのでしょうか?

 

椎名 ライナフの一番最初の商品となったものは「NinjaLock」ですが、決してスマートロックというハード自体を作りたかったわけではありませんでした。「NinjaLock」というスマートロックは、あくまでもサービスに必要なパーツです。

 

いたるところで無人化が進み、近年のカーシェアリングで見られるような”無人のパーキングエリアで、車をいつでも借りることができる”といったスマートなサービスを、不動産でも取り組みたい。

 

これが最初のライナフの意図でした。

ドアの鍵をスペアキーとして皆で共有できるようになれば、不動産に新たな価値を与えられるのでは? という発想だけがあり、それを実現するためにはスマートロックが必要だったのです。

「スマート内覧」もそうですが、ライナフでは他にも、無人のセルフ貸会議室サービスの「スマート会議室」などのソリューションを実現するために「NinjaLock」を活用しています。

 


様々なつながりが、必要とされるサービスを生む


開発部マネージャー 野瀬 陽一(Nose Yoichi)

システム開発会社に入社後、製造業の基幹システム構築、カメラ用イメージセンサー開発に従事。2015年よりライナフに参画する。当社ではスマートフォン、タブレットのアプリ開発を担当。

 

−ライナフ社へ参画した経緯を教えてください

 

野瀬 私は、もともと代表の滝沢と小・中学の同級生で、新卒で入社したシステム開発会社にエンジニアとして10年間勤めていました。

代表は不動産出身の人ですが、「アプリの作り方を教えてほしい」などの相談があり、よく受けていたんです。そうこうしているうちに一緒に働きたいと思うようになり、今に至っています。

 

椎名 自分はウェブサイトの制作会社で開発とディレクションを経験した後、少しの間フリーランスとして働いていまして、とある飲み会で代表と出会ったことがきっかけで、業務を受託する形でライナフに携わっていました。その最中に代表から改めて声をかけてもらって、正式にライナフに参加しましたね。

 

野瀬 商品の開発から発売まで、ほとんどこの三人で行っていました。作り上げたというよりは、何とか漕ぎつけたという感じです(笑)

 

椎名 僕ら二人は、ほとんど開発のみに従事しまして、セールスやマーケは代表が一人で行っていました。

ハードウェアをつくってはいましたが、メインはあくまでソリューション。加えて、ありがたいことに大手企業との引き合いの話をいただきました。

そして、大手さんと取り組んでいく過程で、スマートロックを応用した内覧サービスを開発できるのでは、とお話をいただき「スマート内覧」が生まれるに至っています。

なので、“「Ninja Lock」を売る”という営業面の意識はあまりなかったですね。

 

野瀬 ありがたいことに、ライナフには良いクライアントが多いですね。それは代表の人柄であったり、今までの行いの成果だとは思います。

 

椎名 大企業をクライアントとして持つと「あれもやりたい、これもやりたい」と夢が膨らむんですよ。クライアントからのフィードバックを受け、良いタッグを組みながら、不動産の常識を変えていけると思っています。これからは、ライナフの企業としてのキャパシティを広げていきたいと考えています。

 

 

スマートロック市場への見解


スマートロック業界でのライナフの立ち位置とは


−競合他社との差別化について、お話できることがあれば聞かせていただけますか?

 

椎名 ここ数年で、全体的にスマートロック業界が盛り上がっている認識はあります。スマートロックで言えば、現在は競合が2社いる状態です。

彼らとライナフの何が違うかというとソリューションの有無になります。

その2社は、ハードウェア単体を販売しており、ライナフではハードウェアを利用した業務フローの効率化や、空室に対して収益化を図るといった、スマホ・タブレットありきのウェブ・アプリサービスの複合技で勝負しているので、競合他社と言えど、目線は全く異なります。

 

野瀬 むしろ、競合企業が以前からハードウェアを発売してくれていたら、我々で開発せずに、他社のハードウェアを利用していたかもしれません。たまたま、事業開始時期が近く、結果的に競合他社となった、といった気持ちです。

しかし、競合がいることでのメリットがあります。スマートロックという業界が確立できたわけじゃないですか。

一般的な業界で言うところの“互いが牽制しあう”というよりは、共に業界をつくっていく存在であると考えています。

 

工事不要で手軽にドアに設置 「NinjaLock」は一般家庭にも、不特定多数が出入りする環境でも、対応可能だ

 

−スマートロックとアプリケーションの複合技について、何かスマート内覧でご紹介できるお話はありますか?

 

椎名 例えば、ある物件への内覧者は、その物件に興味があるので、もちろんその物件の周辺環境も気になるところですよね?

 

ただ、これが意外なんですが「不動産管理会社や仲介業者の担当者が、その物件の周辺環境について詳しいか?」というとそうでもなかったりする。担当者も様々な物件を扱っているわけで、決してその物件に住んで暮らしているわけではないのです。

 

そこで、「スマート内覧」というサービスパッケージでは、室内のタブレットで物件情報の閲覧や担当者への電話などを行えるようになっています。それにより、これまで内覧者にかかっていたコストだけではなく、不動産管理会社や仲介業者にかかっていた見えないコストを改善しています。

 

室内タブレットとスマートロックがBluetoothで通信し、予約した内覧者のスマートフォンのブラウザ上からの開錠が可能だ

 

−Airbnb民泊へ切り込むお話などはあがっていたりするのでしょうか?

 

椎名 以前、民泊系のお話はあったのですが、当時はまだまだ法律的にグレーゾーンだったので、そこに対してライナフでは積極的に取り組んでいるわけではありません。

ただ、シェアリングエコノミーという世界観は必ず広がっていくので、ライナフもそこのお手伝いはしていきたい。これは、民泊に限らずですね。

Airbnb」のマッチング要素の素晴らしさと同じように、内覧者と管理側である不動産オーナーに利便性を感じてもらえるような、システムとハードウェアを提供していきたいと思っています。今後の社会に浸透するであろう、新しい世界観の形成を手伝いたい。

 

事業をつくる上で必要な「世界観」

−「不動産に確かな価値を」を掲げるライナフでは、どのような人にジョインしてほしいと考えていますか?

 

野瀬 採用の話題になると、よくスキルが重要視されますが、エンジニア・開発でいえば、そこはあまり気にしていないです。困難に立ち向かう際に、ある程度の「考える力」がある人であれば、スキルに関しては後から付いてくる。

 

椎名 実は僕も近い考え方でして、もちろんスキルも重要ですが、それこそその人が持ち合わせる「世界観」の方が大事だと思っています。

本人がライナフでやりたいと考えていることと、ライナフのビジョンと共通部分があるかどうか、一緒に目指していけるかが肝ですね。

スキルなら後で補えるので。極論を言うと、ライナフが求める世界観と、本人が目指したいビジョンに違いが発生していると感じたら、別の道を選ぶことは当然のことだと考えます。

お互いのポリシーを尊重しあえる関係性でありたい。ライナフのようなベンチャーでは、その仕事が好きでいるメンバーで集まり、そのメンバーだからこそ、新しいものを生み出せることが最大の魅力であると考えていますので。

 


下記は2015年6月にライナフ代表の滝沢氏がライナフブログに投稿したものだ。ライナフメンバーのReTechへ取り組む高い意欲が伺える。

うちの会社は今は一般公募をしていません。

理由は二つあって、一般公募をしたときに選考にかかる時間が取れない、というのが一つ。
もう一つは、今の会社のステージでは、採用は一度として間違えられない、という思いからです。

一人一人の役割があまりに大きいため、全員が同じ方向を向いて全力疾走する必要がある。

 

2017年3月現在、ライナフでは一般公募を行っている。ReTechにジョインしたい、または興味がある人はぜひ情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

株式会社ライナフ 採用情報

 

−ライナフの開発スタイルを教えてください

 

野瀬 それでいうと、開発のスピード感を大事にしているところですかね。例えば、大手企業では設計3ヵ月、実装3ヵ月、テスト半年くらいかかるであろう開発を、ライナフでは、プロトタイプ完成から即リリースしてしまい、ステークホルダーに利用してもらうといった具合のスピード感。

自分自身、ガチガチに仕様検討して、設計して、という側に前職いたわけなのですが、最初の仕様検討を練るのが良い、という意見もある一方で、結局は要望の変化が多く、練り過ぎても仕方ないケースというのは往々にしてあると思っています。

ならば、開発スピートを上げ、次々とプロトタイプに触れてもらう機会を用意する。そして、直接声を聞いて、認識のずれがあるなら、次の開発に反映する。

極端な話、迷惑をかけてでもスピード感を好む、というのが開発のスタンスになりますかね。

 

−実際、「スマート内覧」の開発期間はどれくらいでしたか?

 

椎名 「スマート内覧」は話を頂いてから、リリースまで3~4ヵ月程でした。

 

野瀬 試作は約2ヵ月です。クライアントにプロトタイプを触れてもらい、そこから公開するまで約1ヵ月なので計3ヵ月程かな。

 

椎名 プロトタイプをつくっている間に、ハードウェアと連動するウェブサイトやアプリケーションも開発し、「NinjaLock」が使えないようなビルのオートロック・エントランス用のスマートロック「Ninja Entrance」も同時並行で開発しました。このスピード感は、意思決定の遅い組織では味わえない。

 

−ライナフでの意思決定はどのように行われていますか?

 

野瀬 通常、皆で話してしまうと1、2ヵ月かかる議論も、代表が大枠の仕様を決めてから、皆で詳細を詰める。このプロセスが上手く機能して、開発をスピーディーに行えています。

 

椎名 代表も開発に関して理解がある人なので、そこも大きなポイントだと思います。エンジニアサイドの意見も汲み取りつつ、代表自身で仕様をガンガン決定して行けることが開発のスピード感につながっています。

システムに理解ある人からの指示なら、エンジニアとしても「この人の指示は受けていい」という信頼にも繋がりますし、何よりも仕様決めにかける時間が少なくて済む。

開発のことを理解してディレクションしているかしていないかは、特にこういった小規模の会社において重要な分かれ目だと思います。

 

終わりに

ライナフのスケルトンオフィス

ハードウェア開発のみに終わらない、ソリューションとしてサービスパッケージの提供を行うライナフについてお話を伺うことができた。

 

2017年の3月10日には住宅宿泊事業法案が閣議決定されたこともあり、民泊に代表されるシェアリングエコノミーはますます潮流に乗るであろう。スマートロックと、それを用いたサービスパッケージを提供するライナフのプロダクトが、それを後押しすることも容易に想像できる。

 

 

「不動産に確かな価値を」

ライナフの挑戦が今後さらに社会にインパクトを与えていくさまを、編集部は追っていきたいと思う。