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みんなが知らないハードウェアスタートアップのこと

 

 

こんにちは、ITPMのりゅう(@ryukun103)です。

 

さて、今日何を伝えたいかというと

 

 

 

 

このドミネーターがめちゃくちゃカッコイイ

 

※「DOMINATOR」とは、アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」に登場する架空の武器。変形機構をもち、撃つ対象によって姿を変える。

 

その恐るべし完成度については、ASCIIのこちらの記事が情熱的に伝えている。

 

このIoTトイを世に送り出したのは、とあるハードウェアスタートアップ。

 

まさか3次元にドミネーターが現れるとは……。その感動を伝えるために、取材を打診した。

目次

・Cerevoとは

・「グローバルニッチ」を目指せ

・開発体制

・面白いプロジェクトが生まれるまで

・プロジェクトごとの柔軟な事業スタイル

・グローバルでのハードウェアセールス戦術

・競合他社はいない? ブルーオーシャンなハードウェア業界

・ハードウェアスタートアップの魅力

・終わりに

(読了10分)

Cerevoとは

 

株式会社Cerevoは、様々なIoT家電を開発しているハードウェアスタートアップである。Consumer Electronics(家電)をRevolution(革新)するという思いを込めた造語がCerevoの社名の由来だ。

ユニークなプロダクトが出来上がるまでとハードウェアスタートアップの魅力について、Cerevoの甲斐祐樹氏、伊藤和将氏に話を伺った。

 

Sales & Marketing, PR 甲斐 祐樹(Kai Yuki)

1977年生まれ。大手電機メーカーからIT系出版社の株式会社インプレスへニュース記者として転職。その後はソーシャルメディアマーケティング「アジャイルメディア・ネットワーク株式会社」からフリーランスを経て2012年2月よりハードウェア・スタートアップの株式会社Cerevoに勤務。広報・マーケティング、国内セールスを担当。

 

Cerevoの甲斐氏

 

甲斐 Cerevoの甲斐です。私はプロダクト完成後のフェーズが主で、マーケティング、PR、セールス、カスタマーサポートなどの分野を担当しています。

Cerevoでは複数のプロダクトを同時に開発しています。ハードウェアスタートアップというと創業数年目で十数名ほどの規模をイメージされがちですが、Cerevoでは攻めの考え方を取り、一気にエンジニア集めを試みている最中です。

現在(2017年2月)は、社員75名、それに業務委託とアルバイトを加えると90名います。

 

ピーク時の具体的な採用人数を聞かせてもらえますか?

 

甲斐 2014年に大幅に体制を変更して、一年で40人のエンジニアを採用しましたね。

 

-ちなみに、急激な増員による組織的な弊害は?

 

甲斐 まぁ、すごい単純な話ですが、いきなり知らない人が40人増えると、それは大変ですよね(笑)

 

―(笑)。Cerevo創業当時のお話や今の組織拡大に至った経緯を聞かせてください

 

甲斐 代表の岩佐は以前、パナソニックにいました。岩佐はそこで、「クオリティー高いものを作るなら大企業が適任だが、世の中にないものを1から作るなら起業したほうがいい」と感じ、パナソニックを退職してCerevoを立ち上げたのです。

Cerevo初のプロダクトが2009年に発売した無線LAN搭載型デジタルカメラ「CEREVO CAM」です。「アップロードする手間を省こう」というコンセプトで、充電すると自動で画像をアップロードしてくれます。

今でこそ無線LAN対応のデジカメは珍しくないですが、当時はiPhone3GSが発売開始され、Androidが日本に初上陸した時期でした。

このカメラをベースとしてLIVE配信機材「LiveShell」を製作し、これが我々の主力製品になりました。世界で2万台出荷し、企業としてはまずまずの成功と言っても良い状況でした。

しかし、代表の岩佐は、LIVE配信以外でも魅力的な製品を開発しようと考え、またちょうどその頃にハードウェアで世界を変えていこうというムーブメントが起こりつつあったことも合わさって、その波に乗る形で2014年に大幅な人員拡大へ踏み切った、というのがCerevo組織拡大の経緯です。

 

最新モデル「LiveShell X

 

「グローバルニッチ」を目指せ

甲斐 Cerevoでは「グローバルニッチ」というコンセプトを掲げています。

Cerevoで発表してきたプロダクトは一般ウケをしなくてもいいが、ごく一部の方には興味もっていただけることを狙った製品です。

例えば、製品を1万台売りたいとした時に、1ヶ国で1万台売るというのはとても大変なことです。

 

ならば、100ヶ国で100台売れる製品を作ろう。100ヶ国×100台で合計1万台売れれば一緒じゃないかと。

これを実現するために、1ヶ国に100人でいいから、そのプロダクトを熱烈に好きになってくれるような尖ったものをつくるというコンセプトで私たちはものづくりをしています。

 

Cerevoの販売比率では、海外市場への参入も増えてきていて、現在55ヵ国ほどに展開しています。

 

Senior VP. of Engineering 伊藤 和将(Ito Kazumasa)

1980年生まれ。2005年から松下電器産業(現パナソニック)株式会社にてネットワークオーディオ機器の商品開発に従事。2008年から株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)にてポータブルゲーム機の商品開発に従事。2015年1月より、株式会社Cerevo(セレボ)にて同社製品の製造・技術アライアンスを担当。

Cerevoの伊藤氏

 

伊藤 私は、開発フェーズでの生産スケジュール、工場・生産量などのマネジメントを中心にやっております。

 

甲斐 社員が75名のうち、8割がエンジニアです。その多くは大手家電メーカー出身ですが、専門学校出身でスキルを身に着けて活躍している者もいます。

そう考えると、Cerevoは学歴・社歴に関係なく実力を出してもらえる場なのではないかと思います。ちなみに、前職がTENGAでうちに来てくれる人もいたり(笑)

 

-あのTENGAですか?

 

甲斐伊藤 はい、あのTENGAです(笑)

 

―イノベーションの予感がします

 

開発体制

Cerevoの開発体制には3つの特徴があるという。

 

―ミニマムなチーム

―機構設計とデザイナーを一人で

―プレイングマネージャー

 

―ミニマムなチームというと?

 

甲斐 1プロジェクトにつき、4分野のエンジニアをつけるという体制でやっております。

電気基板の設計、デザイン、組み込みソフトウェア(Linux、オリジナルソフトウェア、オープンソフト等)、フロントエンド(スマホアプリ、ウェブサイト等)の4つです。

多くのネット家電メーカーならこの分担までは同じだと思います。

 

しかし、Cerevoの特徴は、チームにアサインされる各分野のエンジニアが1名というところ。それによりエンジニアが負う責任は非常に大きいものになりますが、その分、自身の裁量でプロジェクトを進行できます。

 

そういう背景もあって、エンジニアには自分のプロジェクトだけに集中できる環境を整えています。

例えば、自走するロボットプロジェクター「Tipron」を担当したデザイナーは、前職のタカラトミーでトランスフォーマーの製品に携わっていたのですが、変形機構のノウハウがあったので完全にデザインを一任していました。

そのような感じで、デザイナーにプロジェクトのコンセプトだけ伝えると、上がってきたデザインがそのまま通ることがほとんどですね。

動くプロジェクター「Tipron」

 

―Web系と異なり、ハードウェア開発では、デザイン領域が広いと思われますが、そのポジションも一人で?

 

伊藤 一般的にはID(Industrial Designer)とMD(Mechanical Designer)、いわゆるデザイナー機構設計は別職種に分かれていますが、Cerevoの場合は、創業当時からエンジニア一人でこの両方を兼任している体制担っています。

これがけっこう上手く機能しているんですよね。IDとMDの担当者が別だと、擦り合わせをする作業が必須ですが、それを1人で担当することで、その時間を省き、作業効率をあげることができます。

こういった大手に見られないチーム体制がCerevoの特徴でもありますね。

 

−プロダクトマネージャーはその4人のチームの中には含まれていませんが、別枠でしょうか?

 

甲斐 もちろんプロダクトマネージャーもいます。チームの作業をスケジューリングしたり、調整するポジションですね。

珍しい特徴として、Cerevoではエンジニアのうち一人がプロダクトマネージャーを兼ねるチームもあります。いわゆる、プレイングマネージャーと言われるものですね。

もし、チームにプロダクトマネージャーがいない場合には、伊藤がそのポジションを担うこともあります。その点、管理職が現場を離れる一般的なイメージとは異なり、Cerevoでは管理職もガンガン現場に入って作業していますね。

一方、製品によってはプロダクトマネージャー専任の担当を配置し、エンジニアはつくることに集中するなど、製品によって柔軟に対応していますよ。

 

−管理職がプロダクトマネージャーとして入る上で、気をつけている点はありますか?

 

伊藤 エンジニアの主体性をマネージャーが殺してしまうことのないよう、基本的に口出しはしません。口を出しすぎるとプロダクトの良さ、エンジニアの主体性と責任を奪ってしまうので、そこを一番気を付けています。

 

−Cerevoでは、本来異なる職種として分けてよいところを兼任されているケースが多いようですね。他にもCerevoで兼任されている職種などはあるのでしょうか?

 

甲斐 そういうと、国内や海外の営業職もそれにあたります。営業といえど、グローバル担当は海外の物流、広報などを兼任しつつなので、世界を相手にする際にしても「専任」がいないですね。

加えて、エンジニアも開発業務のみに従事しているわけではないのがCerevoの特徴です。エンジニアだけど物流もみたりなど、とにかく出来ることは手を伸ばしてる感じですね。

 

−ハードウェアスタートアップならではの、大手メーカーでは味わえない仕事の幅があるように思われます

 

伊藤 その通りですね。例えば、生産ラインで言えば、調達の部署、品質管理の部署、製造の部署など、複数の部署に分かれがちです。

同じようにコーポレート部でも、営業、広報、サポートと複数の部署に分かれる。大手メーカーでは分業している業務も、垣根を越えてできることは面白いですよね。

甲斐 補足で、さらに細かい話になりますが、営業でも実働系・事務系と別れるところをCerevoでは一人で行うこともあります。売上管理から、場合によっては商品の納品まで自らの足でやってしまう、なんてこともあります(笑)

 

面白いプロジェクトが生まれるまで

−Cerevoの製品は、どれもとても自由な発想から生まれているという印象を受けました。魅力的なアイデアはどのようにして社員の間から上がってくるのでしょうか?

 

甲斐 実は社内で製品のアイデアを投稿しあうチャットルームがあるんです。

大喜利に近い感覚で、面白そうと思ったアイデアを社員らにそこで共有してもらう。

その中から、代表とCTOがアイデアを選別して、一気に製品化に向かう流れになっていますね。

自走するロボットプロジェクター「Tipron」もエンジニアのアイデアからスタートしました。あとは他社からのご相談を受けて、事業提携するパターンもあります。

 

−良いアイデア発掘から、試作品完成までのスピードはどれくらいでしょうか?

 

甲斐 早いものだと2~3カ月で試作品はできますね。

伊藤 先ほどの動くプロジェクターで言えば、「動く」と「プロジェクター」などのざっくりとした仕様が決まってから、3カ月後にはプロトタイプがあるといったスピード感になっています。

 

−アイデア発想やプロダクト実現を支えるコミュニケーションが起きやすいよう、Cerevoとして配慮していることは何でしょうか?

 

伊藤 例えば場所でいうと、ノウハウが共有しやすいオフィスづくりになっています。代表の強いこだわりで、オフィスの1フロアに全スタッフが入っている状態ですね。

本来、プロジェクトごとに席を割り振るとは思うんですが、Cerevoでは職種ごとにエリアを分けています。

あっちは電気回路系でまとまって、こっちはデザインメカがまとまっているという風に、同職種の異なるプロジェクトにアサインされたメンバーが、ともに情報交換しやすいオフィスのレイアウトを意識しています。

 

プロジェクトごとの柔軟な事業スタイル

−自社開発なのか、提携なのか、受託なのかで開発の進め方もだいぶ異なると思いますが、その点はどうでしょう?

 

伊藤 提携したものでいうと、4つの回線のSIMを自由に切り替えられる「SIM CHANGER ⊿(DELTA)」とIoTラジオ「Hint」などは事業提携しながら開発しています。

「SIM CHANGER ⊿」はdocomoからライセンスを受けて製品を開発、「Hint」はグッドスマイルカンパニーとニッポン放送と製作委員会形式で製品を開発しています。

「SIM CHANGER⊿」と「Hint」(右)

 

甲斐 Cerevoは縛りがないので、提携先の好みに合わせた進め方で、事業展開をしています。

「Hint」は、ニッポン放送のアナウンサー吉田尚記氏が長年の友人でして、彼から新しいラジオを作りたいとお話をいただき、スタートしたプロジェクトです。吉田氏は、大のガジェット・アニメ好きで有名な方で、アニメ好きが高じて、ニッポン放送在籍なのにTBSラジオにゲスト招待されてしまうほどでした(笑)

「Hint」開発では、コンセプトをニッポン放送から、ハードウェアはCerevoが担当し、デザインはフィギュアで有名なグッドスマイルカンパニーと分担しました。製作委員会方式で、三社が出資して、利益も分配するスタイルですね。

余談ですが、「Hint」は当時のCAMPFIREで過去最高のクラウドファンディング額を記録したのですが、キングコング西田さんに抜かれてしまいました(笑)

「SIM CHANGER ⊿」はdocomoの技術をライセンス提供してもらい、製品開発はCerevoに一任してもらっています。もともと、docomoがポータブルSIM技術を開発していたところ、もっと広く展開していきたいとご相談を頂いたのです。

そこで、Cerevoからの提案として、docomoだけでなく、他社通信会社のSIMもまとめて使えるプロダクトにしてはどうか、という案を出しました。

というような形で、提携先からのご相談に応じて、事業の進め方を変えていますね。

 

グローバルでのハードウェアセールス戦術

−代表岩佐氏のブログ「キャズムを超えろ」の「大手メディアが書かない、CES2017の実態(出演者目線)」を拝見しました。そこで、岩佐氏はこのように述べられています。

と、まぁとりとめもない内容となったが、最後に言いたいことは『なんでこんな世界盛り上がっとんのに日本人誰もやってへんの?』ということ。びっくりするぐらい世界はIoTに向いていて、ハードウェアスタートアップ、あるいは数年前スタートアップだった中堅企業がすごい勢いで攻めているというのに、ここ2年で日本のハードウェアスタートアップは20%ぐらいしか増えていない・・・・・という何となくの体感値。少なくとも、CESという世界最高のIoT展示会の場でプレゼンス出してやろうぜという会社が全くと言っていいほど増えていない現状は、悲しいを通り越して辛いぐらいの感覚。

日本には単純に売り手がいない、少ないので、海外のムーブメントについていけないのですね。

 

甲斐 おっしゃる通りですね。日本では、対応はもちろん日本語ですし、他にもビックカメラ、ヨドバシカメラ、蔦屋家電の違いはわかるので、場に見合ったセールスを行えるうこともできますよね。

 

ですが、海外相手ですとそれが難しいことも多い。そこでCerevoでは、海外の大きな展示会への出展にリソースを投下するという手法を取っています。

 

毎年1月にラスベガスで開催されるConsumer Electronics Show(以下CES)という展示会では、その年に一番だと思える弊社のプロダクトを出しています。加えて、展示会で最大限の露出を図る施策も設けています。

そうすることで、来場者から「この製品面白いから、うちの国でも売りたい」と声をかけてもらったり、世界中のメディアに取り上げてもらえたりする。実際に、CES終了後でもメールで問い合わせをもらったりしていますね。

Cerevoは、企業としてはやはり小さいので、大々的な営業活動はかけられないです。なので、小さいなりに出来ることをする。

 

プロダクトのクオリティーを担保して、世の中の注目を効率よく集め、販売店や流通取り扱い事業者とコンタクトを取り、地道に広げていく。

 

これを積み重ねた結果が現在のグローバル展開「世界55か国」ですね。

 

−確かな技術力で製作したプロダクトと多方へのスマートな露出。これらがハードウェアスタートアップにとって重要ということでしょうか?

 

伊藤 はい。最近だと、前述したクラウドファンディングもそうですが、製品を量産する前にある程度の製品ニーズを獲得する方法は意外とあります。

今年CESで展示したプロダクトに関しても、プロトタイプを準備しただけで、量産は今秋予定です。

わかりやすく言うと、Appleが新製品を発表・発売開始したら、大衆は即日購入にいきますよね?

それをCerevo、ハードウェアスタートアップでやったとしても、注目は集まらない。

 

ですので、事前に“少しずつ火をつけながら、発売時期までにプロジェクトの話題を創出していく”といった手法を取っています。

 

競合他社はいない? ブルーオーシャンなハードウェア業界

−大手を含む競合他社に対して、Cerevoはどのように向き合っているのか、聞かせていただけますか?

 

甲斐 大きく分けて三つの理由で、Cerevoには競合他社はいないと考えています。

一つ目は、ハードウェアスタートアップの参入障壁という点においてです。

ハードウェア業界はソフトウェア業界と比べると明らかに新規参入障壁が高いです。ソフトウェア開発技術と同時にハードウェア開発技術も必要とし、開発資金も多く必要です。

 

ですが、ハードウェアスタートアップは参入が大変ですが、その分競合他社が現れることも少ない。

 

加えて、ソフトウェア業界の出口はパソコンかスマホのみと限定される。

ハードウェアは、現在IoT化されていないモノに着目するだけで、多くのビジネスチャンスがあると考えています。そういう意味では、ブルーオーシャンな業界ですよね。

とはいえ、ハードウェアも“良いモノ”をつくれば、資金力のある大手メーカーに真似されてしまうこともあります。なので、Cerevoでは大手が真似しようのないものを手がけるようにしています。

具体的には、大手が類似品を製作しても、目標とする規模の売上に達しないようなプロダクトですね。大手メーカーですと資金力はありますが、その分売上も大手ならでは規模を求められます。

Cerevoが掲げる「グローバルニッチ」な製品では、その規模は達し得ないのです。Cerevoでは、同業者が真似しづらい試みを行っていることが二つ目の理由になります。

三つ目は、一つの製品を繰り返しブラッシュアップし、事業の安定した収益化を目指すことが通常の企業の成長シナリオですが、Cerevoでは年間でおそよ10プロジェクトを同時進行させ、どれもが少しずつヒットすればいい、大企業のような売上を常に狙う必要はない、というスタンスです。

規模が小さく動きが速い組織がゆえに、数多くの製品をラインアップしてその利益を積み上げていく、という考え方ですね。

 

−IoT製品の開発と聞くと、とてもとっつきづらく感じます。実際のところ、ハードルの高さはどの程度でしょうか?

 

甲斐 そこに関しては、ドラえもんの道具のようなモノが現実でつくれるようになってきていると言っていいほど、皆さんが思っているより大変なことではないんじゃないかと考えています。

その大きな要因は、生産ラインの「モジュール化」です。例えば、どこもかつてはほとんどのパーツを自社開発していました。ラジオやウォークマンのトランジスタなどですね。

それが、今では最新のiPhoneにはサムスンなどの他社の部品が使われているじゃないですか。そのように、他社のモジュールを利用する製造方法が主流になってきています。

 

”プラモデル感覚”でモノが作れる世界が来つつあります。Cerevoのようなハードウェアスタートアップが行っていることというのは、パーツを集め、それをアイデアで以って上手くまとめて、世の中に新しい価値提案をできるような面白いモノを送り出すことです。

 

だいたい1月に開催されるCESですが、一回訪れると価値観が変わると思います。行くことをおすすめします!

 

−全世界から最先端のIoT製品が集まるのでしょうか?

 

甲斐 そうですね。ちなみに、日本と比べるとクレイジーな人が多いですよ。

 

「よくこんなモノ売る気になったな(笑)」

 

と思わず言ってしまいたくなるものが展示されてたり(笑)

日本はクオリティー水準が高い分、変なものがない。海外で出てくる、変なものや尖ったものを目にすることは、良い刺激になりますよ。

 

ハードウェアスタートアップの魅力

−ずばり、ハードウェアスタートアップの魅力とは何でしょうか?

 

甲斐 今まで世の中に存在していなかったものをつくれる面白さがあります。やはり、プロダクトが目の前にあって手に取れると楽しいですよね。

プロダクトが完成したときの喜びは、自分が欲しかったスマホやデジカメを買ったときの嬉しさに近いものがあります。

 

伊藤 自分たちがゼロから製作したモノが世に存在して、人々に実際に手に取って触れてもらえるところに何よりもやりがいを感じますね。

 

−2014年に組織拡大を始め、1年で40人のエンジニアを採用できたというのは、そういったハードウェアスタートアップならではの魅力が技術者に響いているからだと思います。そのような採用広報はどのようにやられていたのでしょうか?

 

甲斐 我々は人材採用にまったくお金を使っていません。

代表が商品説明会でプレゼンしたり、展示会で面白いプロダクトを見てもらったりして、Cerevoに興味を持ったエンジニアがホームページから応募するという理想的な形でマッチングしていますね。

 

伊藤 良くも悪くも、この会社にはものづくりに関して何も縛りがない。

だからこそ、今までメーカーで技術を身につけてきた人たちが、自由な発想で、自分たちが作りたいと思える魅力的なプロダクトを生み出してみたい、そしてCerevoならできると感じてもらえて、集まって来るんだと思います。

 

Cerevoのエンジニア採用経路のほとんどは公式HPだという

 

−IoTムーブメントに日本も対応できるよう、一社でも多くのハードウェアスタートアップが創業してほしいという気持ちは、やはり強いのでしょうか? また、そのためにCerevoとしてどのような取り組みをなされていますか?

 

甲斐 強いですね。創業に限らず、一人でも多くの技術者に参画してもらいたい。

 

伊藤 Cerevoでは、業務委託も受けていて、ハードウェアスタートアップの支援も行っています。

よくあるケースでは、デザインとアプリは自社でやってもらい、電気系統・ソフトウェア開発・ハード製造はCerevoが受託する、というように柔軟に対応しています。

スタートアップからの受託開発を受けるCerevoとしては、次の製作時はCerevo抜きで、自社で全ての開発をやり遂げて欲しい気持ちがあります。

可能な限りCerevoが持つノウハウを伝授するので、学んで独り立ちしてもらえたら嬉しい。独り立ちした企業が増えることで、最終的には日本のハードウェア業界を盛り上げることに繋がるので。

そして、Cerevoだけでなく、他にも相談できる相手はたくさんいます。ノウハウ・経験は仕事しながら学んでいけば良いのではないのでしょうか。

 

甲斐 新しいことを始める際には、知らないことが多いということです。

それは新卒であろうが、職務経験があろうが、多少の経験値の差があったとしても、知らないことは絶対にあります。

知らないが故に失敗も多く経験しますが、繰り返し失敗して、起き上がれる根性さえあれば、何とでもなります。

あとは、伊藤が申し上げた通り、ハードウェアスタートアップのコミュニティーは色々あるので、そこで交流し、仲間を作って、情報を交換しあえば、ノウハウ・経験をカバーすることは十分にできるでしょう。

 

終わりに

DOMINATOR」と連動するスマホアプリ画面

 

取材後には、アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」ファンの私が、Cerevo社製の「DOMINATOR」をCerevo社内で愛でさせていただいた。

 

 

お二人の言う「ハードウェア開発の面白さは、自分が欲しかったモノを手に入れた時の高揚感に近い」というのは、本当にその通りだ。

 

Cerevoには他にも多数の魅力的なIoT製品を打ち出していて、今回の記事では紹介しきることができなかった。

グローバルニッチなデバイスの開発をいくつも並行して進めているCerevoは、現在絶賛採用中だ。ハードウェアスタートアップにご興味のある方は、ぜひ問い合わせてみてはいかがだろうか。

 

 

株式会社Cerevo

ネットに接続する手段を持った家電は沢山発売されるようになったものの、既存商品の延長線に過ぎないものが多くあります。Cerevoでは常に革新的な商品を提供してゆくことを目指しています。

企業HP: https://www.cerevo.com/ja/

facebookページ: https://www.facebook.com/cerevo/

twitterページ: https://twitter.com/cerevo

by
芝浦工業大学卒。在学中は建築学専攻。 在学中には大学広報冊子の編集長を勤めながら、インターンでWeb系の新規事業に携わり、その中でスタートアップ・ベンチャーの魅力を知る。 より多くの人にその魅力を発信するために、取材活動に取り組んでいる。
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